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青石の里・小川町 第7回

  関東の中央構造線「奈良梨断層」

 最終更新日:2016年6月27日
奈良梨断層を北西方向に見た航空写真
(小川町史地質編、1999より)

 「青石の里」の「青石」とは何のことか、お分かりですね。三波石という庭石の名前で知られる結晶片岩のことです。「下里・青山板碑遺跡」や紅葉の名所として知られる嵐山渓谷の岩畳は、長瀞と同じ三波川帯に属します。詳細な調査により、小川町の東に隣接する嵐山町では、非持型トーナル岩・天竜峡型花崗岩・菫青石黒雲母片麻岩などの領家帯の岩石露頭が見つかっています(比企団研、1982ほか)。最も近い所では三波帯の片岩露頭と1kmしか離れていません。その間を北西―南東方向に流れる市野川に沿って奈良梨断層が推定され、三波川帯と領家帯を境することから、中央構造線と解釈されています。市野川上空から北西に撮影した写真で、右(北東)側の丘陵と左(南西)側の水田の境界が、直線的にのびていることがわかります。奈良梨断層は「日本の活断層」(1980)では、活断層とされましたが、「新編日本の活断層」(1991)では削除されています。しかし2011年の震災では、市野川沿いに屋根瓦被害が帯状に集中し、強震動帯の特性はあるようです。
 西南日本を外帯と内帯にわける中央構造線は、フォッサ・マグナの下に隠されて位置不明となりますが、関東山地北東縁で再び現れています。外帯の構成要素である「秩父帯」、「三波川帯」、「御荷鉾緑色岩類」の呼び名は、これらが広く分布し、古くから研究された関東山地の地名に由来します。
 内帯の岩石はわずかに確認されているだけですが、小川町と同じ岩石が分布する下仁田町でも、中央構造線とされている馬山−金井線や大北野−岩山線の北側に分布する花崗岩類も内帯の要素と考えられています。なお、関東山地北東縁より東の領家帯候補としては、吉見変成岩、筑波花崗岩、ボーリングデータ(松伏SK-1、野田R-1、岩槻地殻観測井)がありますが、異論のあるものもあります。地表で三波川帯と領家帯の岩石がセットで見られるのは小川町周辺までです。

(埼玉支部 吉野博厚)



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