小川町総会の準備、順調にすすむ

　埼玉支部では、1月16-17日恒例の新年例会を行いました。16日は、板碑の学習会（講師：町教育委員会の高橋好信さん）を行い、コンパでは町の地酒「帝松」「晴雲」「武蔵鶴」を飲み比べました。板碑、地酒については、今後のコラムで紹介します。

　17日の第4回総会準備委員会には支部会員26名が出席、メイン会場となる「リリックおがわ」（小川町民会館）でシンポ・ポスター・販売など各会場の下見を行いました。

　ここでは、準備・計画中の３つのシンポジウム（学術・科学運動・原発）とプレシンポの案内、プレミニ巡検とポスト巡検の概要をお知らせします。

シンポジウム�Tのねらい

テーマ：「地域にねざした科学運動」
　ここ数年、毎年のように災害の発生が続いている。「火山・地震活動や豪雨、それにともなう自然災害」や「大地のなりたち」への市民の興味・関心は、ますます高まっている。そんな時期だからこそ、地団研がすすめてきた「市民とともに」、「創造活動の成果を市民に普及していく」という地域にねざした活動が、より重要性を増している。今回のシンポジウムでは、会員がすすめてきた地学ハイキングや災害調査の実践を集め、それを報告していただき、私たちの今後の活動へどう発展させていくかを議論いきたい。

シンポジウム�Uのねらい

　地団研総会における原発関連のシンポは、過去2回開催され（2014年度および2015年度）、大きな成果をおさめてきた。福島においては地下水汚染水の解決にむけた対応は依然厳しい状況が続き、他の原発においても政府、電力会社による原発再稼働がすすめられ、原発問題への継続した取り組みが重要である。小川町総会においても、引き続いて原発関連のシンポが開催される。今回のテーマは低線量地域における放射能汚染の実態、および福島における地下水汚染水問題にむけた対応の2つの柱を設定した。福島におけるセシウム汚染状況や原発団研のその後の成果はもちろんのこと、あまり取り上げられることがなかった関東地方の低線量汚染についても議論される貴重な機会ととらえている。
　なお、プレシンポを5月28日（土）13時〜17時、東京北区の北とぴあ（王子駅から5分）において開催予定である。

シンポジウム�V−１　のねらい

　テーマ「本州弧中央部における隆起とその火成造構的背景」
　地団研専報38号「フォッサマグナの隆起過程1991」の成果・地史的背景をふまえて、本州弧中央部の隆起の原因とその年代の実態をさぐる。できるだけ、団研・グループの成果を盛り込みたい。

シンポジウム�V-2のねらい

　テーマ「地震災害と地質構造」
　地震災害は地質構造と密接に関係します。我々の出番です。地団研専報60号「2011年巨大地震　震害と対策2014」の成果を踏まえ、具体的な例を出しあいたいと考えたい。

総会巡検について

　小川町総会では、プレミニ巡検を小川町周辺地域で、ポスト巡検は県内外で企画しています。現在、検討中のコースもあり、詳細は「そくほう5月号」に掲載いたします。

◆プレミニ巡検（8月19日）　半日
「中世板碑石材の採掘・製作遺跡を訪ねる」
「岩殿丘陵北部の中新統層序と古生物、特に神戸層のサメの歯から穿孔貝まで」
「海洋地殻とマントルの断片を見る（仮題）」
「跡倉ナップと古生代閃緑岩（仮題）」

◆ポスト巡検（8月22日〜23日）
「利根川の流路跡をたずねて」　日帰り
「関東平野の始まりを見る（仮題）」　日帰り
「長瀞の岩畳と自然の博物館（仮題）」　日帰り
「秩父・下仁田ジオパークを訪ねてー地質と風土の関連を探るー」 1泊2日
「秩父盆地の中新統」　　2泊2日（21日夕方〜）

シンボルマーク決定

デザイン　本間岳史会員

【解説】
　第70回地団研総会のシンボルマークは、最近話題の板碑・細川紙・パレオパラドキシアの３要素を組み合わせてデザインされています。細川紙のサーフボードに乗って颯爽と登場するパレオパラドキシアを、板碑が見守っている構図です。
　2014年10月には埼玉県小川町の「下里・青山板碑製作遺跡」が国の史跡に指定され、11月には小川町・東秩父村の伝統的な手漉き和紙である「細川紙」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。さらに、本年３月には「古秩父湾」の変遷を物語る秩父盆地の６か所の露頭と埼玉県立自然の博物館収蔵のパレオパラドキシアとクジラの化石９件が、「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として国の天然記念物に指定されました。
　第70回地団研総会は、タイミングよく“武蔵の小京都”・“青石の里”と呼ばれる埼玉県小川町で開催されます。埼玉支部では、ぜひこのことを全国に発信したいと考え、シンボルマークにこの３要素を取り入れました。