地学団体研究会埼玉支部

日曜地学ハイキングの記録


 第171回〜第180回(1983年9月〜1984年8月)


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第171回 足利市 名草巨石群とホルンフェルス
                  1983年9月15日

 この日の天気は雨のち曇。足利・名草の巡検は、参加者は、係・案内者をのぞくと4名、テーマのためか、日程、場所、時間のためか、天気のためか、係はどう分析しているのかな。
 少人数のため車で移動でき、予定外のキン青石ホルンフェルスが採集できたのは、大きな収穫であった。今回のテーマは「花崗岩をみる」ことにあったわけだが、このテーマの巡検は大変むずかしいとつくづく感じた。案内者がきちんと問題意識をもち、それを提起する形でないと、ただ見て一般的な花崗岩の説明をするだけでは面白くならない。参加者がホルンフェルスの採集の方に夢中になるのもわかるような気がする。
 この巡検で感心したことがひとつ。紅柱石ホルンフェルスやキン青石ホルンフェルスの立派なものが採集できたのだが、一番一生懸命にとっていたのは、係の2人。毎月の巡検につきあって大変だと思うが、そういう中で、もちろんもうけている。立派なことだ。

{田阪登史}(参加者 10名)

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第172回 山中地溝帯の化石を求めて 1983年10月16日

 小鹿野町河原沢の二子山山腹に分布する,白亜系山中地溝帯の化石を求めて沢を歩きました。
 西武秩父駅前9:45集合,10:00発の志賀坂行きバスに乗り,11:00ころ二子山登山口のバス停に到着。登山道を登りだした。途中から道を離れ,沢を歩いて化石産地に向かいました。
 12:00過ぎに化石産地に到着。地層は漣痕も見られる砂岩泥岩互層で,おもに泥岩の中に,トリゴニアなどの化石が含まれていました。昼食もそこそこに,置層の観察,化石採集を行い,トリゴニアの他にも,ムカシトサカガキ,シラオガイ,バケベリア等の貝化石が発見されました。
 14:30ころには観察を終了し,二子山登山口のバス停に戻り,3:34発のバスに乗り,14:40すぎ西武秩父駅の到着,17:00解散になりました。
 

{小幡喜一}(参加者 13名)

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第173回 比企丘陵二ノ宮山付近のグリーンタフ
                  1983年11月20日

 比企丘陵に分布する埼玉のグリーンタフを観察しました。
 森林公園駅からバスに乗り,福田のバス停から歩いて,滑川町上伊古から南西に歩き,嵐山町太郎丸まで、地層を観察し,武蔵嵐山駅で解散になりました。
 上伊古の台沼のわきには,大谷石のような福田凝灰岩が見られました。しばらく進むと道の脇の露頭に砂岩泥岩互層が見られ,クリノメーターで調べると,構造は北東傾斜なので,先程よりも下位の地層を見ていることが分かりました。もう少し進むと,二宮凝灰岩が見られ,一部に溶結構造が見られることからから,陸上火山噴出物ではないかと言うことでした。この凝灰岩は比企丘陵で最も下位のもので,フィッショントラックで1900万年ほどの年代が得られているそうです。
 峠を越えた柳沢沼付近には、礫岩や砂岩が見られ,構造がほとんど水平になっていると言うことで,大立山背斜の軸部のようです。ここから先は南西傾斜になり,これまで見た地層を下位から繰り返してみていくことになりました。
 関越自動車道のところで最初に観察した,福田凝灰岩を見て,背斜を確認しました。

(参加者 60名)

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第174回 秩父市大野原の第三紀層と化石,レプリカづくり
                 1983年12月18日

 秩父市大野原の蓼沼と築瀬で化石採集を行いました。蓼沼はサメの歯化石やカメの化石が,築瀬はパレオパラドキシアの全身骨格化石が発見されているところです。
 築瀬では,歯医者さんで使う印象材を使い,石膏で化石模型を作りました。

{小幡喜一}(参加者 66名)

パレオパラドキシアの発見露頭で化石採集

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第175回 春日部市の小渕砂丘  1984年1月22日

 大雪のため中止

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第176回 足柄山地の貝化石 1984年 3月15日

(参加者 29名)

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第177回 秩父 長尾根(段丘・ローム層,荒川河床の第三系)
               1984年4月24日

 西武秩父駅から荒川をこえて対岸の長尾根(尾田蒔丘陵)に登り,河岸段丘の地形を歩いて体感しました。
 市街の今宮神社では,段丘崖の湧泉の龍神池を,札所16番でしだれ桜を見て,段丘を下りました。武之鼻橋を渡り,荒川河床に下りて,段丘の基盤をなす新第三系平仁田層の泥岩を見ました。泥岩には貝やウニの化石も含まれていました。
 ここからは坂を登り,札所23番の境内で昼食となりました。明治17年の秩父事件の際には,ここの梵鐘を打ち鳴らして,困民党軍が武之鼻に下り,荒川を渡渉して秩父市街(当時は大宮郷)に攻め入ったということです。
 昼食後は新しくできた展望台に向かいました。途中で新第三系の泥岩の上に段丘礫層がのっているのを確認し,荒川との比高(標高差)が200m近いこの高台も河岸段丘面であることを確認しました。展望台では武甲山や外秩父の山を背に広がる,秩父盆地の地形がよく見えました。
 帰りは,南西に進み井森峠付近でローム層の観察を行い,佐久良橋を経て西武秩父駅に戻りました。

{小幡喜一}(参加者 33名)

秩父札所16番で

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第178回 高麗 日和田山の古生層と獅子岩橋の中生層
               1984年5月20日

(参加者 60名)

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第179回 吉見丘陵−新第三紀層と吉見変成岩類をたずねて
               1994年6月17日

 

(参加者 31名)

クレンザーになる珪質凝灰岩の露頭

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第180回 秩父盆地皆野付近の第三紀層と化石 1994年8月19日

 地学ハイキングの案内が新聞にのる、わが家は電話対応におおわらわです。「参加資格があるのでしょうか?」「タガネって何ですか?」「僕の家は小田急線のそばです。どうやって行ったらいいですか?」「素人でも化石がとれますか?」「○○先生の地学の課題で・・・」etc、etc。  6月より朝日の首都圏版にのせて頂いたとこともあり、県外の参加者がふえてきています。連絡ハガキも165ヶ所に出すようになりました。
 8月19日10時20分快晴、第180回日曜地学ハイキング「秩父盆地のおいたちを探る」の集合です。小さな皆野駅はパンク寸前です。名簿、パンフ、アンケート用紙、参加費、会員5名は目をまわしそうです。あっという間に120部のパンフがなくなりました。保険屋さんに電話をしていると、ざわつきがすっと消えました。「皆野は秩父盆地の・・・」本間会員が説明を始めています。
 駅前から大移動が開始されました。そして荒川への急な下り坂になると動きが止まってしまいました。立ちすくんで泣き出す女の子、スカート・サンダルで来てしまい、こんなはずではなかったとまごつくお母さんもいます。足場を確保したり、手をひいたりして全員おりるまでに30分もかかりました。狭い川岸では後ろの川に落ちないように気をつけながら人の肩ごしの観察でした。有律互層、底痕、断層破砕帯(出牛―黒谷線)、結晶片岩とみてゆくと、もう12時になっていました。
 河原の木陰でそれぞれのお弁当を開きます。この時、自己紹介をして頂きました。「化石をとってみたい」という小学生、部活の仲間でやってきた高校生、マイクを子供におしつけるお母さん、そして5時起きで鎌倉からやって来た熟年夫婦、見慣れた顔もたくさんあります。
 1時、出発です。藪をくぐり、炎天下の砂の上、岩の上を歩いて、約1km三峰センターホテルに着きます。バテた人もいるので、ホテルの入り口をおかりして、水もいただきました。ジュースの売り上げにも一役かったようでした。もう2時になりそうです。予定では「前原の不整合から大淵へ」となっていますが、急坂への恐怖心や疲れがみえるので、前原を見ない班と見る班に分けました。前原では初めての実物の不整合に「感激」といったお父さんもいました。
 最終見学地の大淵の河原は日陰はまったくありません。頭がポーとしてきそうです。しかし、子供もお母さんたちも化石採集に夢中です。貸し出したハンマー、タガネも役だっています。「これは何ですか?」「キララ貝だよ」このV字型の模様が特徴です。「これは?」「ソデ貝のなかまでしょう」「このへんはホタテ貝がとれるよ」「むこうはキリガイダマシがあるよ」。飯塚晶子さんがめずらしい化石をみつけました。『皆さん、シャコの化石(後にオオグソクムシであることが判明)が発見されました』・・・「発見祝いにお寿司屋さんに行ったらどうですか。同じものが食べられるよ」「アンケートを出してお帰りください。次回は・・・」化石採集を続けている者もいるので、今回は自由解散としました。
 アンケートやおたよりを見ると、大半の方が「おもしろかった」と書いています。自然に魅せられたといった感じでしょう。そんな経験の手助けができ、まずは、普及の第一歩は成功。しかし、「説明が聞き取れない」「パンフ・説明がむずかしい」「帰り道がわからなくて困った」といったものもあります。できることなら、案内者を多くし10人くらいの班に分かれ肉声でやりとりができれば良いと思います。どんな人でも楽しんでもうけて帰れるようにすることが一番でしょう。

{小幡喜一}(参加者 110名)

狭い川岸で「出牛−黒谷断層」を観察
化石を含む地層を埋め尽くす参加者

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