秩父札所26番円融寺奥の院岩井堂は武甲山の北西側斜面にあります。岩井堂は大きなチャートの岩陰に築造され、清水の舞台に似た懸崖造り(けんがいづくり)のお堂で木立に囲まれた静寂な空気を満喫できます。
岩井堂の石段は、約317段(不明のところあり)で、長さは約150mにおよびます。尾根に出るまでの石段と、その後の岩井堂までの石段の2つの部分に分かれます。前者は210段あり、砂岩や石灰岩の石材を用いています。南東方向に一直線にのびた石段は、最初はゆるい傾斜であるものの、後半は35~40°と急になります。下から見上げるとまるでスキージャンプの助走路のようにも見えてきます。
下段付近では踏面が前方に2~3°せり出しているものや、中段付近では踏面の中央部が両端より8°沈んでいるものがあります。おそらく地盤の動きを反映しているものと思われます。 尾根に出ると、石段は北東方向にほぼ直角に転じ、岩井堂に続いています。尾根筋にはチャートが多く分布し、直接チャートの岩盤に石段が刻まれた部分もあります。岩井堂への道筋でみられるチャートは海洋性の岩石の代表的なもので、しばしば険しい地形をつくり、急勾配の石段がみられます。 岩井堂へは、秩父鉄道影森駅から徒歩約30分(下の地図を参照)。
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秩父札所26番円融寺 奥の院岩井堂の位置図
(関根一昭作成/『埼玉の石段60選』より転載) |
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懸崖造りの岩井堂と石段(関根一昭撮影) |
岩井堂にいたる石段(関根一昭撮影) |
引用文献
- 関根一昭(2024)埼玉の石段60選.544p,埼玉石段研究会,ISBN-13: 978-4600011819

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