飯能市下名栗の楞厳寺( りょうごんじ)の石碑や石段には、石灰岩の礫が集まってできた石灰岩角礫岩が使われています。礫径0.5~10cm の石灰岩の角礫からなり、玄武岩やチャートの礫も少量含まれています。風化により石灰岩礫の形がはっきりとわかります。
この石灰岩角礫岩は石仏、石灯篭、石橋、墓石などにも利用されており、名栗地域にみられる特異な岩石です。身近な場所に採石場があり容易に採掘できたのでしょう。この石灰岩角礫岩の採石地はわかっていませんが、石造物の分布の中心地である楞厳寺に近い下名栗の旧県道ぞいに石灰岩角礫岩の露頭があります。楞厳寺の石段の礫に古生代ペルム紀のフズリナがみつかり、露頭の石灰岩角礫岩に含まれるフズリナの示す年代とほぼ同じです。現在、小さな露頭ですが、江戸時代には大きく露出していたのではないでしょうか。
|
|
 |
楞厳寺の山門と石灰岩角礫岩の石段。
松岡喜久次撮影。 |
楞厳寺の石灰岩角礫岩の石段。クローズアップ。
松岡喜久次撮影。 |
楞厳寺の石段の石材に見られるフズリナ。
松岡喜久次撮影。 |
|
|
楞厳寺の対岸にある延命地蔵尊。
松岡喜久次撮影。 |
入間川ぞいの石灰岩角礫岩でつくられた石造物の分布と数 (吉中ほか 2018)。
松岡喜久次作成。 |
*楞厳寺 飯能市下名栗 バス停名栗橋下車徒歩2分
引用文献
-
吉中康展・福地朝男・平野和夫・目良 恂・鈴木敦子・髙橋茂友・髙橋陽子・田中かをる・東海林勝代・吉中裕子・小山春雄・松岡喜久次(2018)埼玉県飯能市名栗川沿いに分布する石灰岩質角礫岩で造られた石造物と石材の採石地の推定.地学教育と科学運動,83:33-36. |
 |

No.6 に戻る 「みんなの地学」目次 に戻る No.8に進む
|