地学団体研究会埼玉支部 
  HP版 「みんなの地学」 自然と人間 No.5

 石造物の石材
   ③ 根府川石の巡拝碑

松岡喜久次,2025年2月11日,2月17日写真追加  

 越生の名刹、五大尊は春のつつじで有名です。ここには、四国八十八か所と、西国・坂東・秩父の日本百観音の合計188基の 札所写の石碑(巡拝碑)の巡拝コースが整備されています。
 弘化3年(1846)年、この地に生まれた鈴木金兵衛は、故郷の五大尊を百八十八札所の写し霊場とすることを思い立ちました。この大事業は残念ながら完成に至らず、五大尊境内には、計104基の巡拝碑が順不同の状態で点在していました。平成27(2015)年度に、不足する84基を新たに造り、江戸時代に建てられた碑と合わせて、188基の札所巡拝碑コースが整備されています。
 巡拝碑の石材は小田原産根府川石です。この石は、箱根古期外輪山の活動によって流れ出た安山岩の溶岩です。なめらかに湾曲した板状に割れる性質(板状節理)が特徴で、石碑などに多く利用されています。 石丁場(石切り場)から船で運ばれ、江戸神田の石工が刻み、新河岸川の舟運を利用して川越まで運ばれ、そこから五大尊までは陸送されました。

  
五大尊の四国札所4番(右奥)と5番(手前)の巡拝碑。
松岡喜久次撮影
五大尊の四国札所26番(左奥),27番(左手前端),28番(中央後ろに隠れている),
29番(中央手前),30番(右)の巡拝碑。松岡喜久次撮影

 *五大尊へは、越生駅下車 バス黒山行きで上黒岩下車徒歩6分

*越生町ホームページ「鈴木金兵衛の札所巡拝碑設置事業」
    


 川越市下新河岸の河岸場跡には、何らかの事情で五大尊に到達しなかった9基の巡拝碑がのこされています。また、観音堂入り口には、五大尊の仁王門にするはずだった高さ1.9mの根府川石に掘られた1対の仁王像が立っています。

  
川越市下新河岸の観音堂にある仁王像.
弘化3(1846)年。 松岡喜久次撮影
河岸場跡に残された四国札所3,5,8,11,17,18,77,79,85番の
9基の巡拝碑。松岡喜久次撮影

 *下新河岸へは、東上線新河岸駅下車 東口から徒歩15分


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