地学団体研究会埼玉支部 
  HP版 「みんなの地学」 自然と人間 No.4

 石造物の石材
   ② 石材の安山岩はどこから

松岡喜久次,2025年2月11日  


 埼玉や東京には、安山岩を利用した多くの石仏や墓があります。江戸城の石垣にも安山岩が多く利用されているが知られています。このように江戸時代、安山岩の石材は相当な量が必要とされたのです。しかし、東京や埼玉では、石材として利用できるほどの安山岩は産出しません。
 それでは、大量の安山岩はどこから来たのでしょうか。伊豆半島には100~30万年前に噴出した安山岩質溶岩などが多量に分布しています。これらの安山岩が石材として切り出された跡が残されています。その石切り場は石丁場といわれ、切り出した石材を船によっては運ぶために、海岸の近くに開発されました。
 当時、隅田川の河口には石問屋も存在し、仲買、石工店を通じて石材の流通が確立していたようです。この安山岩の石材は「伊豆石」とよばれて商品価値が高く、経済活動が成立していたのです。川越市内の石造物につかわれている安山岩の特徴は、伊豆半島の安山岩と共通しています。このことから、伊豆半島の石丁場から船で運ばれた石材が、荒川や入間川、新河岸川などをさかのぼって、埼玉に運ばれてきたと考えられます。

  
伊豆の安山岩の輸送経路。秋池(2010)より作成 安山岩製の地蔵。元禄12(1699)年。
川越市内にて,2024.5 松岡喜久次撮影

引用文献
  • 秋池 武(2010)近世の墓と石材流通.高志書院.270p.


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