12月に入ってから続いていた寒さから一転、比較的穏やかな日曜日。冬の地ハイにも関わらず、46名もの参加者が元加治駅に集まった。今回のテーマは、『入間川に沿って仏子層を下位から上位まで全部観察しよう!』である。
早速駅を出発し、上橋のグラウンドに下り、下位にある飯能層と仏子層の境界を観察した。ここで、仏子層の部層区分等の地質概略について説明を受け、礫層である飯能層と仏子層が整合関係にあること、仏子層が下流に向かって緩く傾斜している(下流に行くほど上の層が露出している)ことを確認した。ここから下流に向かって上位の地層を追っていく。西武線の鉄橋下に広がるシルト層中では、木の根の化石・アケボノゾウの足跡化石を観察した。今は川底になってしまったが、かつての中州にあった泥炭層からは昆虫や植物の化石が多数産出したそうだ。シルト層中の火山灰の年代から、足跡化石が約200万年前のものであるとの説明も受けた。
さらに下流に進むと、川岸の足下にたくさんの貝化石が観察できた。私は2枚貝しか見分けられなかったが、食用にもされるイボウミニナなどの巻き貝も見つかっているとのこと。しかし、印象化石である上に地層が崩れやすいため、採取するのは難しい。ここは皆さん、写真撮影でガマン…であった。
昼食を取った後、その付近の地層を観察する。ここでは、たくさんのサンドパイプが丸や管状の模様として見られた。巣穴を埋めたパイプ状のものを蛇糞石というらしい。前日の雨で水位が上がり、露頭に近づいて観察することができなかったのが、心残りである。
更に下流に向かいながら、粘土質の仏子層の直上で湧水を観察し、最後に仏子層最上部・笹井ダム下流に到着。ここには亜炭層が分布していること、かつてここから、いくつもの植物株の化石が発見されたとの説明を受けた。その後中州に下りて、亜炭層中から植物化石を採取した。20cm程川の水に浸かっての作業。ジワジワと足の指先に冷えが伝わる中、皆さん必死で露頭とにらめっこ。黒っぽい亜炭層から、同じく黒っぽい植物化石を見つけるのはなかなか難しかったが、慣れてくるとたくさん発見した参加者さんもいた。しかし、採取した化石は非常に脆く、湿らせたティッシュにくるんで厳重に持ち帰ったが、開けてみるといくつか壊れてしまっていた。(次回、化石採取の際には、フィルムケース等を持参することを心に固く誓うとともに、皆さんにもお勧めします。)ここで見つかった植物化石は、メタセコイア・エゴノキ・ハンノキなのどの実で、これらの植物が150万年前に繁茂していたことがうかがえる。大物のオオバタクルミが発見できなかったのが残念だった。
今回は笹井ダムでまとめ・解散となった。防寒バッチリで挑んだものの、日中は日差しも有り暑く感じるぐらい天候にも恵まれ、参加した皆さんの日頃の行いがうかがえる地ハイだった。
{川越高校 竹内幸恵}(参加者 44名)
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西武線鉄橋下 アケボノゾウの足跡化石 |
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笹井ダム下流 亜炭層と植物化石 |
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