9月の地学ハイキングはバスを使って中津川を訪れました。ところが最初からハプニング発生。チャーターした大型バスでは目的地までは入れないということが出発前に判明しました。そこで、さらにマイクロバスをなんとか都合してもらい、こまどり荘(森林科学館)までは大型バスで行って、そこからマイクロバスで目的地までピストン輸送という作戦となりました。
西武秩父駅から国道140号線を中津川へむけて走ります。道中は案内の小幡さんの話が途切れることなく続きました。秩父帯のこと、四万十帯のこと、白泰断層のこと…といった地質にとどまることなく、秩父のこと、道々のポイントの解説… 国道140号線から中津川への道を分かれ、滝沢ダムを通り過ぎ、やがて細い道となってやっと中津川の集落へ到着です。
最初に森林科学館を見学したあと、中津川の河床に降りて鉱床を作るもととなったトーナル岩(石英閃緑岩)を観察しました。そして、中津川の右岸を下流へ向かって中津川キャンプ場へ。キャンプ場からは吊り橋を左岸へ渡るのですが、一度に渡れるのは2人まで、との注意書きにより参加者44人が渡りきるのには相当の時間を費やしてしまいました。そこで、ここで2グループに分かれ、一方は平賀源内が金山として掘った「桃の久保」の坑道跡へ、もう一方は源内が住んでいた「源内居」へ向かいました。桃の久保には今もぽっかりと空いた坑口がそのまま残っていました。また、その沢すじでは黄鉄鉱や結晶質石灰岩などを採集することができました。
ここから中津川ぞいの道路を歩いて森林科学館までもどり、マイクロバスに乗り換えてさらに奥の学習の森へ。ここで昼食だったのですが、ここでまたトラブル発生。送迎のマイクロバスのバックギアが入らなくなってしまい、このバスでは帰れないことになってしまいました。携帯電話も圏外で、電話も使えません。幸い我々が大若沢を見学しているうちに、代わりのマイクロバスがやってきてくれることとなって、事なきを得たのですが、一時は歩いて帰らなくてはならないのかな…などと心配もしました。
大若沢はすばらしい渓谷でした。埼玉にもこんなすごい渓谷があったのかと思うような渓相で、両脇の壁が急角度で立ち上がっていて、「V字谷」などという言葉では言い表せないような急峻さがありました。大若沢の途中にある「勘兵衛の滝」までこの渓谷をつくるホルンフェスルやチャートを見ながら歩きました。
最後は再びマイクロバスで移動し、小倉沢の秩父鉱山の跡を見学しました。鉱山跡といっても、鉱口やズリを見るのではなく、かつて繁栄をしていた秩父鉱山の街の見学です。たくさんの社宅、供給所(スーパーマーケット)、銭湯…、廃墟というか、まるで遺跡のような空間でした。中津川と神流川の合流地点で大型バスに乗り換え、渋滞の国道140号線を西武秩父駅に戻ったのは午後5:30過ぎ。消化しきれないほどたくさんの出来事を見たり聞いたりした一日でした。
{児玉高校 栗原}(参加44名)
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