地学団体研究会埼玉支部

日曜地学ハイキングの記録


 第231回〜第240回(1989年8月〜1990年7月)


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第231回 関東山地のすべてをみよう  1989年8月19〜20日

 ここ数年夏休みの地ハイは一泊二日で行っていますが,今年も関東山地団研グループの案内で埼玉・群馬県境の神流川流域から志賀坂峠にかけての地域を巡りました。
 一日目(8/19)午前11時高崎駅集合、群馬県立博物館を見学した後、宿舎のバスで有名な三波石峡に向かいました。そこで渓谷美を楽しみ,下久保ダムを経由して宿舎まで歩きました。夜は宿舎で明日にそなえての学習会です。
 二日目(8/20)再びバスに乗り込み,御荷鉾スーパー林道から神流川沿いの小平・中里村の瀬林・志賀坂峠へと見学していきました。この地域では関東山地をつくる御荷鉾変成岩類・秩父中古生層・山中地溝帯の中生層がみられます。瀬林では何かと話題になっている恐竜の足跡を見学しました。最後の志質坂峠ではあいにくの曇り空で展望が得られなかったのが残念です。ここからはバスで西武秩父駅に向かい解散となりました。

(参加者41名)

志賀坂峠で記念写真

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第232回 横瀬町 化石と礫岩をたずねて  1989年10月15日

 今回は秩父市の東にある横瀬町をたずねました。町のほぼ中央を流れる横瀬川に沿って歩き、そこにみられる新第三紀層を見ました。
 この地域は秩父盆地の南東隅にあたる地域で、新第三紀層の最上部層が分布しています。地層のほとんどが礫岩層と砂岩層で何の面白みもない石です。しかし,その礫岩層に地殻変動の謎がかくされているのです。
 今回はいつもに比べて川の中にはいることが多く、なかなかたいへんな地ハイでした。でもたまにはこういうこともいいのではないでしょうか?(そう思っているのは案内者だけか?)。化石はあまりきれいなものが見つかりませんでしたが、その代わりに(?)りっぱなアルコ−ス砂岩が観察できました。
 最後に昨年も立ち寄った横瀬町歴史民俗資料館の見学をし、簡単に一口のまとめをしました。場所を提供していただいた資料館の深田さん、どうもありがとうございました。

(参加26名)

新田橋下流右岸の急傾斜した礫岩層
下横瀬橋下流左岸で化石採集

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第233回 高麗付近をたずねて 1989年11月26日

 こちらの都合で予定を一週間延期し、第四日曜日の地ハイとなりました。しかし天気もよく、多くの参加者が集まりました。今回は高麗付近の物見山・日和田山周辺を歩き、秩父中古生層を見学したり、山の上から関東平野の展望を楽しんだりしました。
 とにかく天気のよい一日で、「これも日頃から係の行いがよいため」というもっぱら評判でした(???)。最近の地ハイでは平野や盆地の中を歩くことが多いのですが、やはり山の中を歩くのが最高です。日和田山をおりた所でまとめをし、解散となりました。  その後、希望者のみ(15名ほど)で獅子岩橋付近の「謎の白亜紀層」を見学しました。石灰質の不思議な砂岩が見られ興味深く感じました。

(参加54名)

日和田山からの展望

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第234回 大宮台地と見沼低地  1989年12月17日

 冬晴れの一日、今回は東浦和の大宮台地・見沼低地を歩きました。このあたりは近年開発が進み、自然のままの状態が年ごとに失われている地域です。露頭も次々と消えたり、人の土地内のものとなっています。
 そのため今回見た露頭は2ヶ所だけ、そして最初の露頭は、人の家の下にある崖でむやみに削ったり掘ったりできないものでした。参加者は欲求不満です。しかし、次の露額では工事で削られた大露頭、思う存分削ったりサンプルをとったりしました。おまけにあと2・3ヶ月で(この文章が世にでる頃には)消えるという貴重な露頭でした。他に見沼通船堀の跡を見学しました。途中新しい露頭が見つかり、従来の見解と合わないことが見られるとのこと。地ハイで新しい事実が‥‥。今後の調査に期待します。

(参加62名)

工事現場に現れた大宮台地のローム層

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第235回 武蔵嵐山をたずねて 1990年1月15日(成人の日)

 1990年最初の地ハイ、今回は新年を祝して昼にトン汁会を行うことになりました。久々のトン汁です。当日は冬晴れのおだやかな日、たくさんの人が集まりました。武蔵嵐山駅に集合、それから歴史資料館まで移動し、そこの駐車場でコースの説明、そしてトン汁の材料を集めました。かなりの量が集まり、一回では作れないほどです。
 材料を係の人に託し、資料館から都幾川に向かいました。途中で段丘地形をみ、段丘堆積物を観察しました。しかし、露頭が小さく十分な観察はできませんでした。昼休みの場所では段丘の話を聞き空中写真の実習をし、いよいよトン汁です。鍋がたりず二回に分けて食べました。かなりの量で参加者はみな満足顔です。
 午後は川を上流に向かい、嵐山渓谷で結晶片岩を見学しました。なかなか味わいのあるコースでした。

(参加60名)

都幾川の河原で

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第236回 大谷石のふるさとをたずねて 1990年3月18日

 今回は栃木県の大谷をたずねました。そうです、昨年陥没がおこり話題となったところです。もともとは石材としてなじみの深い大谷石の産地で有名なところです。今回の見学も主にその大谷石そして陥没現場が中心です。
 大宮8:45発の普通電車で宇都宮へ、そこからバスで大谷へ向かいました。町の中では大谷石の崖、そして大谷石を使った門柱・石べいなどが多くみられました。
 第一地点の崖でも大谷石を見学しました。大谷石は流紋岩質の軽石凝灰岩で、緑色化変質をうけたグリーンタフ(緑色凝灰岩)です。午後は大谷資料館を見学しました。広大な地下の採掘場が印象的でした。そして最後に陥没現場の見学です。最初に86年の陥没、次た89年の陥没現場を見ました。89年のものはまだそのままの状態で生々しいものでした。フェンスがはられていて遠くからながめるだけでしたが、陥没の恐ろしさが感じられました。

(参加37名)

大谷石から切り出された大谷観音
大谷資料館の地下採掘場(左)と歓迎「知団研」

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第237回 狭山丘陵と武蔵野台地の
     自然と歴史をたずねて
 1990年4月15日

 1990年度第一回目の地ハイは東京都との都県境に近い狭山湖周辺を訪れました。西武球場前駅に集合、そこから狭山湖に向かい、その途中で狭山丘陵をつくる礫層・ローム層を見ました。
 礫層は芋窪礫層とよばれるもので、40〜50万年前の川にたまった地層だということです。ローム層は多摩ローム層で関東ロームの中では一番古いものです。狭山湖からは発掘中の遺跡や白旗塚、そして武蔵野・立川ローム層の小さな露頭を見学し,所沢西高に向かいました。
 そこでは1990年度の総会を行い、スライドをみながら昨年一年をふりかえりました。これで昨年の地ハイのおさらいはばっちり!というところです。

(参加37名)

狭山丘陵の多摩ローム層

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第238回 新緑の正丸峠を歩く 1990年5月20日

 今回のコースは昨年一度企画したのですが、係の都合により他のコースに変更になってしまったところです。会員の皆様の熱烈な(?)リクエストにお答えして、今年度第2回目の地ハイとしてこのコースを企画しました。
 さて当日は非常によい天気、まさに山登り日和です。正丸駅を出発し正丸峠に向かいます。途中でチャートや粗粒玄武岩などを見学し、伊豆ヶ岳への分岐の少し先ではフズリナ化石の採集をおこないました。正丸峠に着くとそこは人だらけで、昼食の場所をさがすのもたいへんなくらいでした。
 午後は正丸山から川越(ガンゼ)山をへて旧正丸峠に向かいました。途中の稜線からは周囲の山々や秩父凹地帯(高麗川沿いの、地形的にまわりより低い地帯)が見渡せました。旧正丸峠は暗く狭い峠で,かつて盛んに交易が行われていたとは思えないような静かな所です。先ほどの正丸峠の雑踏がうそのような,非常に雰囲気のよい峠でした。ここから正丸駅へくだりました。

(参加60名)

旧正丸峠でひと休み

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第239回 墓石とビルの石材見学 1990年6月17日

 今回は普段と趣をかえ、都会での地学ハイキングを企画しました。見学したのはもちろん自然の話頭ではなく、墓石やビルに使っている石材です。初めは国会議事堂内の石材見学を考えたのですが、やはりそれは無理ということでした。是非とも会員の中から国会議員が出てほしい!と思います。
 午前中は青山霊園で墓石の見学です。ここは都区内では最大の規模をもつ墓地で、じっくりみるには一日あっても足りないところです。またここには大久保利通,斉藤茂吉など多くの著名人が眠っています。最初にざっと説明をうけ、その後各自、自由こ見学しました。午後は銀座にでて、地下鉄コンコースやビルの壁の石材を見学しました。日本だけでなく、世界各地の石材が使われていました。参加者はみな壁にへばりついてみていましたが、そばを通りかかった人たちが不思議そうに見ていたのが印象的でした(?)。

(参加50名)

青山霊園で墓石の観察

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第240回 秩父盆地
       白砂公園・貝化石をたずねて
 1990年7月22日

 夏休みになってはじめの日曜日、皆野駅から吉田町に向かうバスはすし詰め、身動きもできないようでした。今回は秩父盆地の北の縁をたずねました。
 午前中は、白砂公園の岩山に登りました。この山をつくる白色の砂岩は、1700万年ほど昔、秩父盆地の海が入り込んだ頃の砂浜に積もったもので、今では小高い山になり、秩父の山々を見渡せるようになっていることなどの説明を聞きました。
 午後は、赤平川まで歩き、川床で化石採集をしました。暑い中、小学生たちがハンマーを片手にあちこち歩さまわって、夢中になって化石を探す姿が印象的でした。

(参加94名)

赤平川の川原で化石採集

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