8月10〜11日、1泊2日でバスハイキングが行われた。参加費は1泊3食保険つきで8,500円。参加者は小学1年生から60代の方まで36名(小学生8名)で、マイクロバスは補助席も使い満員となり、地ハイ係の小幡はガイド席に陣取った。会員も10名で熱気あふれていた。
荒川源流域の中・古生界、奥秩父の豆焼橋から、ダムや発電所もおりまぜ、谷深い上流部、新第三系の秩父盆地の段丘や川の蛇行、結晶片岩の長瀞、そして、関東平野の段丘、扇状地、自然堤防、最後に都民の水をまかなう朝霞市の秋ヶ瀬取水堰を見学した。夜は秩父市内の荒川べりの旅館で、河川調査中のスライドを見て、空中写真の立体視を行った。その後、子供は高校生をリーダーに花火大会、おとなはコンパとなった。2日目は昼前からあいにくの雨模様となったが、予定どおりに無事終了し、参加者は満足そうであった。
今回のバスハイクには3つのきっかけがあった。地学団体研究会埼玉支部の会員15名が県史編纂室の荒川総合調査に携わったこと、支部会員が編集を行っている「地学教育と科学運動」の14号で郷土の川を話題にしたこと、常連の参加者から1泊ハイクの要望が出ていたことだ。これが支部新年会で「荒川バスハイク」に発展したのだ。3月から準備を始め、実施2週間後に記念写真と決算報告、「荒川研究証明書」を郵送し、今回の行事が終わった。
参加者の参加の動機は、はじめての企画ということもあって興味があった、荒川について知りたかったなどが多かった。内容は川を中心とした地形、堆積物で地質については、ほとんど触れなかった。視点を広げすぎると、あいまいになるのでしぼったため、荒川の上流から下流への変遷はよくわかったという感想が多かった。
パンフレットは内容の濃いものが、係の人たちを中心につくられたが、小学生にはむずかしかったようである。1泊2日の日程のため、参加者の交流ができたのがよかった。
参加者の声
- とても説明がよく分かって、それで花火もあってよかった。川の上流から下流まで見られて勉強になった。(小学生・男)
- バスの中から一本の川を見ていくと、川のしくみがよくわかって、とてもよかった。(中学生・女)
- 湧き水の冷たいのが飲めてよかった。(高校生・女)
- 荒川の上流から下流かで実際に目で見たので,家に帰ってからそれについての本を読んで資料をまとめてみたい。
今後は学習会や室内実験などもとり入れてみてはどうか。(30代教師・男)
- 転向が悪かったのは残念でしたが、理科的な面(川の流れ、石、地層、風化、地形など)や社会科的な面(川原の利用、地形と土地利用の関係)など自然を多面的にスライドにおさめることができ、帰ってから編集して教材をつくるのが楽しみです。欲をいえば海に注ぐところ(河口)まで行きたかった。(30代教師・女)
- 自然のいろいろな面にふれられるのが楽しくて参加させていただいている。実際に身近な“川の一生”ともいうべき姿を見られてよかった。スライドとバスを利用したフィールドワークで立体的に学習が広がった。またいろいろとお話しができて楽しかった。(40代・主婦)
- 不動淵のポットホールのある上流の様相、長瀞の結晶片岩の岩畳や自然史博物館、中流の露岩や下流の入間川との合流点が良かった。
三峰口付近の上流と中流との境目、河岸段丘等、本や概念としてわかっていたつもりだったが、実際に眺め特に段丘の帯が何列にも並んでいる様子を教えていただき、それが土地の隆起、氷河期の海面低下によるなど、その段丘面をみつめて不思議な気がした。上流では川の強烈な浸食作用、中流では浸食作用と堆積作用、下流の大規模な堆積作用等、そのスケールの大きさに驚いた。温和と思っていた荒川が暴れ川だということが少しわかったようだ。(60代自営・男)
{松岡喜久次・小幡喜一}(参加者 36名)
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建設中の国道140号線最奥部、豆焼橋で |
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大洞第1発電所の見学 |
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荒川と浦山川の合流点 |
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