TOP ■ちちぶ総会紹介シリーズ ■(6)ようこそ、ジオパーク秩父へ 
日本地質学発祥の地・ちちぶ総会シリーズ(6)

   ようこそ、ジオパーク秩父へ

 最終更新日:2023年7月8日

 

 秩父地域は、関東山地の北部に位置し、西南日本外帯の地体構造、すなわち、北から三波川変成帯、ジュラ紀付加体の秩父帯北帯、秩父帯中帯の山中白亜系、ジュラ紀-前期白亜紀付加体の秩父帯南帯、白亜紀付加体の四万十帯が帯状に配列しています。その中に新第三紀前期-中期中新世の秩父堆積盆地の地層が分布し、そこには第四紀に形成された河成段丘が発達しています。また、南西部には後期中新世の甲府花崗閃緑岩体、秩父帯南帯には後期中新世の秩父トーナル岩とその貫入にともなう秩父鉱山のスカルン鉱床がみられます。このように様々な地質現象がみられることから古くより地質学徒の訪れるべき場所とされてきました。
 ジオパーク秩父は、秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の1市4町にわたり、2011年に国内15番目の日本ジオパークに認定されました。秩父札所三十四ヶ所観音霊場にちなみ、34カ所のジオサイトが設定されています。ここでは、ジオパーク秩父の全体像を把握するのにおすすめの眺望サイトと主要拠点施設を紹介します。
 第1は美の山展望台です。この展望台からは、新第三系で構成され河成段丘が発達した秩父盆地とそれを囲む、日本百名山の甲武信ヶ岳(甲府花崗閃緑岩に貫入したヒン岩)、両神山(秩父帯南帯のチャート)と、石灰岩採掘が進む二百名山の武甲山(秩父帯北帯)などを一望できます。
 第2は埼玉県立自然の博物館です。「日本地質学発祥の地」の石碑が設置されているこの博物館は、神保小虎の指導の下、秩父鉄道が1921年に開設した秩父鉱物植物標本陳列所を前身としています。2016年に「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として国の天然記念物に指定された、パレオパラドキシアやヒゲクジラの骨格標本など見どころがたくさんあります。
 第3は、ジオサイト「ようばけ」とおがの化石館です。「ようばけ」とは新生代中期中新世の地層の大露頭で、カニや貝の化石が多産することで有名です。この「ようばけ」を臨むおがの化石館にはジオパーク秩父地域内で発掘された化石が展示されています。また、建物の北側には宮沢賢治と親友の保阪嘉内の歌碑が建っています。
 これらおすすめスポットで、ジオパークの概要を把握して、興味あるジオサイトを訪問してください。

(埼玉支部 関根栄一)

 


「ようばけ」を背景にした宮沢賢治と保阪嘉内の歌碑


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