青石の里・小川町 第5回
変動帯が生んだ砕石
最終更新日:2016年4月29日
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勝呂の採石場内の露頭(1993年3月撮影)
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小川町には広大な採石場が2箇所あります。ここで採掘されているのは、おもに砂岩です。鉄道線路敷の道床バラスト、道路のアスファルト舗装やコンクリートの骨材等に利用される砕石として、出荷されています。
採石場内の露頭を見ると、岩石自体は硬く緻密ですが、地層がズタズタに破砕されています。そのため、採掘が容易で、クラッシャーで楽に砕くけます。
小川町は関東山地の北東縁部にあり、関東山地の帯状構造をつくる西北西−東南東方向の断層と、新第三紀以降の南北方向の断層が複雑に入り組んでいます。
町の北西部、勝呂では跡倉ナップを構成する白亜系の栃谷層の砂岩泥岩互層が採掘されています。跡倉ナップは三波川帯の南縁部に低角断層を介してのる押し被せ地塊で、その起源は、領家帯・阿武隈帯・黒瀬川帯などの諸説が出され、いまだ決着を見ていません。勝呂付近の栃谷層は幅約1 kmで、西北西−東南東方向の断層によって南北を境され、さらに、南北方向の断層によって胴切りにされています。
町の南部、上古寺では三波川帯の南に分布するジュラ紀付加体、秩父帯上吉田ユニットのチャート質砂岩が採掘されています。ここでも帯状構造方向の断層と南北方向の断層が入り組んでいます。
(埼玉支部 小幡喜一)
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