地学団体研究会埼玉支部

日曜地学ハイキングの記録


 第261回〜第270回(1992年8月〜1993年7月)


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第261回 地質調査体験ハイク
    + “ようばけ”をたずねて
 1992年8月22〜23日

 今回は4年ぶりに「地質調査体験ハイク」を行いました。地ハイ参加者に地質調査を体験してもらうという企画です。5つの班にわかれて調査しましたが、この時の様子は下記の参加者の感想をご覧ください。辛さのなかにも楽しさのあった(?)ことがわかっていただけることでしょう。特に白沢東の沢コース(B・C班)はなかなかたいへんだったようです。今後はもっと条件のよい冬や春先に行うことを考えています。お楽しみに‥‥‥。
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参加者の感想
  • とても楽しかった。皆さんが大変熱心に、ご親切に教えて下さったので、また石や地層を見る楽しさが増えました。子供連れでも歩けるコースを選んで下さったり、化石採りも入れて下さったり、ありがとうございました。(主婦)
  • 楽しく過ごさせていただきました。心から感謝しております。1年ぶりの、しかもスリルある地質調査で、脳の中に新鮮な酸素が吹き込まれたような、清々しい気持ちでした。(教師)
  • お借りしたクリノメーター、難しそうに見えたのですが、使い方も分かるようになりました。ゆっくり川に沿って1つ1つの地層を見ていくのも、いろいろな発見があり面白く思いました。各班の報告を聞いていると、泥岩の中に凝灰岩が2〜3枚挟まれていたり、地層の並び方、走向‥傾斜にほぼ共通性があることを知り、驚くと同時に嬉しくなりました。(主婦)
  • 最初、A班はO先生のご指導と判ったとき、これは生易しいことでは済まぬと覚悟しましたが、確かにその通りでした。地質調査上の対象物の観察、識別能力、測定技術の足りなさに、我ながら驚いています。地質屋の現地主義の真骨頂の一端でも覗けて良かったと思います。(自営業)
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 二日目は日帰り参加の人も加わり、一般的な形式の地ハイです。吉田町の藤六から、赤平川沿いにようばけまでのコースで、第三紀層を見学しました。藤六ではスランプ構造や礫岩を概察し、河原で礫調査も行いました。そして、はさみばけの下で化石採集です。暑さを忘れ、時間を忘れて、みんな熱中していました。かなりの収穫もありました。そして最後はようばけです。有名な場所で、多くの人の来るところなので、最近はなかなかいいものが採れなくなっているようです。
 この後の泉田からのバスは我々がのりこんだため、超満員になり参りましたが、なにはともあれ一泊の地ハイは楽しいものです。

(参加者33名+34名)

地層を見ながら川原を歩く 
はざみばけからの沢の下で化石採集 

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第262回 秋の秩父盆地をたずねて
       −皆野町−
 1992年10月17日

 前回にひきつづき、今回も秩父盆地の新第三系を対象としました。場所は盆地の北東部にあたる皆野町、荒川と赤平川の合流点付近を歩きました。
 皆野駅を出発し、まずは河原の礫調査。二手に分かれ皆野橋下と郷平橋下の2ヶ所で、河原にころがる礫め種類などを調べました。そしてその結果を比較してみました。
 その後全体が合流し、郷平橋下で地層見学・化石採集です。ここでは新第三紀層の子ノ神(ねのかみ)砂岩層と富田泥岩層が分布しています。化石は貝のほか、生痕化石もみられました。
 次は有名な「前原の不整合」、基盤の秩父層群の粘板岩やチャートと、その上に重なる新第三紀層の礫岩やアルコース質砂岩をみました。さらに荒川を下流にすすみ、大淵の河原で化石採集です。ここでは郷平橋下で観察した子ノ神砂岩層と富田泥岩層がもう1度みられました。予定ではここでもう 1回礫調査を行うはずでしたが、時間切れでまたの機会ということにしました。

(参加62名)

前原の不整合を観察

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第263回 湧き水と野火止用水
      −新座市−
1992年11月22日

 今回は新座市付近の武蔵野台地を歩きました。都市化の進むこの地域、人家の間を歩きながらのハイキングとなりました。
 新座高校前のバス停に集合、高校の裏の妙音沢へ向かいました。ここでは台地をつくる地層とそこからの湧泉をみました。湧き水は礫層の下からコンコンと湧き出ていました。あたりはうっそうとした林で、町中にいるのを忘れてしまいそうでした。湧き水はいつも水温がほぼ一定で、夏は冷たいとのことですが、寒いこの時期は逆に暖かく感じました。その後は新座高校の地学室で、昼食、そして露頭のはぎとり標本や航空写真をみました。
 午後はローム層の見学や雑木林の観察・野火止用水の見学などを行いました。中でも雑木林については私たち地質屋(私だけ?)にとってはとても勉強になりました。また、長さ約20kmの野火止用水はたった40日で完成しましたが、実際に水が野火止に届くまでに3年もかかったというのも驚きです。

(参加69名)

妙音沢の奥にあられれる地層を観察

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第264回 川本町の化石林をたずねて  1992年12月20日

 冬晴れの一日、埼玉県北部の川本町にやってきました。この付近の荒川の河床には新第三紀中新世の地層が分布しています。今回の見学地点は川本町の平方の荒川河床で、ここでは楊井層という地層がみられ、多くの化石が含まれています。特に植物化石が多く、化石林としてよく知られていまれます。またサイの化石もみつかっている場所です。
 現地へは秩父鉄道の武川駅から約4km徒歩で約1時間の道のりでした。途中、鹿島古墳群などを横目にひたすら歩きつづけました。そして広い河原で楊井層の観察と化石採集、そして最後に河原の礫調査を行い、解散となりました。
 なお、全体の解散後に川越において忘年会を行ったことを付記しておきます。

(参加54名)

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第265回 正丸峠から大蔵鉱山へ 1993年1月17日

 今回は真冬の正丸峠をおとずれました。2〜3日前までの天気を考えると、山には雪があるのではと心配されましたが、それが的中した当日の状況でした。
 正丸駅を出発し、まず大蔵川の河原でチャートとそれを貫く粗粒玄武岩を観察、その後お申講の神社付近でフズリナ化石の採集、その上流で砂岩の露頭を観察しました。そしてその先あたりから、いよいよ雪が現れはじめました。正丸峠から先の稜線上はまさに雪山の世界で、雪中行軍となりました。こんな地ハイはめずらしいでしょう。昼食も雪の上、15分ほどで再び歩きはじめました。稜線から本日のメインである大蔵鉱山へ向かいました。現在は採取していませんが、坑口の跡がみられ、辺り一帯のズリから鉱物を探しました。いいものはなかなかみつからなかったようですが、鉱山の雰囲気・面影だけを味わえました。

(参加49名)

雪の正丸峠で

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第266回 群馬県 子持・小野子 火山めぐり 
         1993年3月20〜21日

 今回は久々、4年ぶりの火山の見学となりました。群馬県の渋川から子持火山・小野子火山をたずねました。まず一日日は子持火山、麓の子持神社から大黒岩に向かいました。途中いくつかの溶岩を見学し、最後は登山道を登って、大黒岩を目指しました。なかなか急な登りで、途中でリタイアという方も何人かいました。大黒岩からは放射状の岩脈群がよくみられました。
 その日の夜は学習会、火山の一般的な話もあり、非常にためになる内容でした。その後のコンパも大いに盛り上がりました。
 二日目は十二ヶ岳へ向かいました。ここもなかなかきつい登りでしたが、互いに励まし合い、無事に全員頂上へたどり着きました。そこからの展望は最高で、周辺の火山がすべてみられました。記念撮影の後、駅へと下山していきました。

(参加28名)

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第267回 牛王山のおいたちをさぐる
       −和光市−
 1993年4月18日

  93年度第一回目は東京との都県境に近い和光にきました。午前中は牛王山(ごぼうやま)での地層見学、午後は県立和光高校地学室で総会と学習会という日程です。
 牛王山ば和光高校の南にある標高25.2mの独立丘で、荒川低地の西の縁に位置しています。ここをつくる地層は下位から東京層(海にたまった地層)、武蔵野礫層(川にたまった地層)、関東ローム層(陸上にたまった火山灰層)の順に重なっています。これらを3つの崖で観察し、午後の学習会ではその内容をもとに和光周辺の約15万年の間の歴史を考えました。
 午後ははじめに「日曜地学の会」総会を行いました。93年度の計画提案と、スライドでふりかえる92年度の報告がありました。その後は学習会で、午前中のまとめ「牛王山のおいたちをさぐる」、そして「関東ロームについて」です。最後はロームを“わんがけ”して、鉱物の顕微鏡観察をおこないました。ちょっとみるときたないロームですが、双眼実体顕微鏡でみるとその中にはきれいな鉱物がたくさん含まれており、みんな見入っていました。

(参加43名)

午王山の地層観察

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第268回 干潟の生物観察と巣穴の型取り
       −千葉県原木中山−
 1993年5月23日

 今回はいつもと趣をかえ現生の生物の観察です。場所も埼玉を離れ、千葉県の原木中山まできました。東京湾がすぐ近くというところです。
 地下鉄東西線原木中山駅に10:00集合、そこから歩いて約15分、江戸川の河口近くの干潟が今日の観察地です。ここで干潟に住むカニや貝などの生物を見、カニの巣穴の型取りを行いました。カニは場所によって種類が違い、陸よりのところからコメッキガニ・チゴガニ・ヤマトオサガニ、と棲み分けをしています。チゴガニのユーモラスなしぐさが印象的でした。
 ところでなんで地学で生物の観察なのか? と思われた方もいるでしょう。地質学では「現在は過去を解く鍵である。」ということがいわれています。地層中に含まれる化石のことを考えるにはどうしても現生の生物のことを調べることが大切になってくるのです。また、地層そのもののことを考える時にも現在の堆積物を調べることが非常に重要になります。そんな意味で今回の地ハイが企画されたのです。今後も続けていきたいと思っています。

(参加38名)

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第269回 長瀞の変成岩をたずねて 1993年6月20日

 昨年度の地ハイ企画会で「長瀞は埼玉の代表的な地質見学地であるので、1〜2年に1度くらいは地ハイで見学したほうがよいのではないか」という意見がありました。また、それと合わせて自然史博物館の見学も行いたいということもだされました。それらの意見をうけて今回の地ハイか企画されました。
 朝10:00上長瀞駅集合、早速県立自然史博物館に向かいました。最初は博物館の楡井さんから「埼玉の地質のおいたち」という題で講演をしていただきました。埼玉だけでなく、日本列島全般におよぶ地質の話をわかりやすくしていただきました。その後は楡井さん・本間さんという新旧の学芸員の方の案内で館内をじっくり見学しました。
 午後は野外に出て、虎岩から白鳥島対岸の舟着き場までの地層・岩石の見学です。スチルプノメレン片岩などの様々の変成岩やキンクバンド・プーダンなどの変形小構造を観察しました。当日は天候が心配されましたか、雨もあがり夏を思わせるしような暑さになりました(今年の夏はあの頃で終わりか?)。最後は白鳥島の横臥褶曲を見て、解散となりました。

(参加50名)

長瀞の岩畳を歩く

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第270回 越生町龍ヶ谷をたずねて 1993年7月18日

 今回は朝から雨模様、人数も若干少なめとなりました。一日中、傘の手離せない日でしたが、秩父層群・御荷鉾緑色岩類の観察と化石採集という計画で行いました。
 越生駅に集合、バスで上大満へ、そこから西に向かう道沿いにすすんでいきました。前半は御荷鉾緑色岩類が分布していましたが、連日の雨のため川が増水し、露頭まで近づけない所が多く、なかなか観察ができませんでした。秩父層群との境界断層のところも今ひとつピンときませんでした。
 竜隠寺(ここでは寺の住職からのありがたい御講話がありました)で昼食をとったあとは秩父層群の岩石を観て、その後,山道を登り石灰岩の崖でフズリナ化石の採集を行いました。しかし、それもまた雨の影響でうまくいきませんでした。天気がよく石の表面がかわいていれば、フズリナ化石は石灰岩の表面にうきあがってみえるのですが、今回は濡れているのでなかなか見にくく、おまけに空が暗いのでよけい条件か悪くなりました。それでもいくつかのサンプルを持ちかえり明るいところでみると、現場ではわからなかったものがよくみえました。
 とにかく雨に泣かされた一日でした。

(参加30名)

御荷鉾緑色岩を見る

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