3月17日に堀口先生の案内で吉見丘陵の日曜地学ハイグががおこなわれた。吉見丘陵 といえばあまりにも有名な吉見の百穴がある。 横穴墳墓として古墳時代末期につくられたといわれている。市ノ川の堤みから第三紀
層凝灰岩質砂岩の横崖に数多くの穴墳群がみられ、古代人の生活をほうふつさせる。水田や畑を主体とした平野部に孤立して存在し樹木 でおわれている。この丘陵はより、いっそう自然の豊かさを感じさせた。
ところが、10年ほど前から比企ネオポリスとして大規模な住宅造成が進むにつれ て、緑豊かな丘陵は殺伐とした景観をなしはじめている。 吉見百穴の北東部、そして、北吉見の東部は建設埋立用として?土・石が大規模に堀
り取られ、その景観の凄まじいこてには驚く。当日配布された空中写真とステレオビジョンによって、10年前の比企丘陵を立体視す ることによって、その変化の様子が正確に知ることができた。ここに現在すすめれている日本列島改造の縮図をみることができたと
思う。自然環境とその多様性を全く無視した開発は 将来に大きく影響を与え続けることであろう。吉見百穴の南に松山城跡があるが、資本の論理によって落城するのも時間の問題でなかろうか。
この開発によって従来あまり知られていない地質の様子が明らかにされてきたとい う。我々も根古屋の大露頭において、標本に使えるような 立派なザクロ石角閃岩をサンプリングした。このザクロ石はパイロープといわれるも
ので、高圧下のもとで生成されたものといわれる。このような変成岩類は丘陵の中央に断層を境にして分布しているといわれている。丘陵の 地質が研究され、かなりの成果がでてきた。しかし、その背景には自然破壊という人間の営みがある。どのように考えたらよいのであろう
か。ともかく今回は比企丘陵の地質が勉強できたと 同時に自然破壊の現実を考えさせられた意義ある地学ハイキングであったと思う。
{「秩父の峰」 細野 衛}(参加者 ?36名)
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実体視の練習 |
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ガーネットを含む片麻岩の露頭を埋め尽くす参加者 |
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