ほどよい気温と日差しの中、32名が参加し、「新緑の飯能・龍崖山をたずねて」を実施することができました。案内は竹越智さんと鈴木禎一さん、川越高校地学部、地元の参加者で鉱物に詳しい丹下さんも解説に加わって地学ハイキングならではの展開となりました。
平野の新しい地層と山地をつくるペルム紀・ジュラ紀の古い地層の境目を観察しながら入間川沿いの遊歩道を進みました。資料の地質図をみると断層は引かれてないものの、その境は直線的で生越断層の延長線?という説明も興味を引きました。また古い時代の露頭の砂岩、緑色岩、枕状溶岩、チャートにも見えるドロマイトを確認しながら歩きました。
途中の連続露頭は、遊歩道整備の際、岩根橋下の露頭が削剥されて枕状溶岩が現れたそうです。この露頭を基に川越高校地学部で研究を行い、第68回日本学生科学賞を受賞しました。今回、その成果を踏まえて地学部の生徒による図と写真による枕状溶岩の特徴と詳しい解説がありました。また案内者から海中で溶岩が噴出して枕状溶岩でつくられる映像を見せていただきました。段丘面を歩き、狭い登山道を登りながら龍崖山頂をめざしました。途中にマンガンを採掘した坑道跡があり、ズリ山の中から黒色のマンガン鉱石を拾いました。設置された解説板によると戦前・戦中に採掘され、製鉄や電池などに利用されたとあります。今回のコースだけでも3カ所もの鉱山跡をみることができました。
山頂で昼食をとり、数名の班に分かれて実験を行いました。入間川で採取した砂岩、石灰岩(CaCO3)、卵の殻(CaCO3)、貝殻の殻(CaCO3)、黒いマンガン鉱石(MnO2)にそれぞれ3種類の液体をかけて変化を観察しました。また発生した気体を火のついた線香やロウソクの炎にさらしたときの変化を観察し、気体の正体を推定しました。液体はサンポール(希塩酸)、オキシドール(過酸化水素水)、水です。その後、参加者の丹下さんに長年に渡り鉱物採取した数種類の標本を使ったマンガン鉱石の解説をしていただきました。
大河原城の堀切、チャートでできた燧山を横目で見ながらあさひ山展望公園へ向かいました。アップダウンの山道は少々きつく健脚向けのコースだと実感しながらの山歩きでした。
最後のポイントでは公園をつくる層状チャートを観察しました。広場には、りっぱな柱状節理でできた日時計が設置されており、最後まで地学ざんまいの一日でした。また天候に恵まれれば龍崖山、あさひ山展望公園から遠くの山々を一望できるのもこのコースの楽しみでしょう。
{地ハイ係 久保田郁夫}(参加者 32名)
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川越高校生が岩根橋下の枕状溶岩を解説
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あさひ山展望公園で
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